たとえば、「海藻を栄養にできるのは日本人だけ」といった文章を読んだことはありませんか?
いろいろ気になる体質の違いについて、まとまった書かれている本がありました。
面白かったのでご紹介します。
欧米由来の栄養情報や健康法は日本人に当てはまるのか
私が、欧米由来の栄養情報や健康法を、そのまま日本人に当てはめたらいけないのではないの……?
と思い始めたきっかけは二つあります。
一つは、海苔(海藻)を栄養にできる腸内細菌を持っているのは日本人だけ。
という話を聞いたこと。
検索したら、以下のリンクがわかりやすかったです。
http://wired.jp/2010/04/09/日本人の腸だけに存在?:海藻を消化する細菌/
日本人の多くの人にとって海苔は実際「栄養豊富」だとしても、外国の人にとってはそうではない、らしい。
これは、単に面白エピソードだったんですけど、その後、子どもの脳にもいいと言われるオメガ3を、「植物性オイルで摂取しても、日本人の多くの人は、それをDHAやEPAに変換する酵素を持たない」と、分子栄養学の講演会で聞いた時には衝撃でした。
えー!!! 積極的に食べていたのにな、って。
味的に好きなのもあって、今でもオメガ3系の植物性オイルは今も摂っていますけど、その話を聞いて以来、日本人が昔から食べていたかどうか、って、常に意識したほうがいいんじゃないかなと思っています。
欧米人とはこんなに違った日本人の「体質」
そんなことを考えていたら、マクロビオティックの専門家さんに、『欧米人とはこんなに違った日本人の「体質」』(講談社ブルーバックス、2016年)を勧めていただきました。
遺伝要因と環境要因の両方により、健康が決まるという話が書かれています。
これだけ書くと、しごく当然ですよね。
帯から抜くと、
その方法では、日本人は健康になれません!
日本人は 炭水化物を控えてはいけない/オリーブオイルを摂りすぎると生活習慣病に/筋トレしても「やせ体質」にはなれない/(中略)
「日本人のための病気予防法」とは?
ネット書店のレビューでは、糖質制限と糖尿病に関わる批判的コメントが、上位に上がっていました。
そこに関しては論点が近い『米と糖尿病 日本人は炭水化物(糖質)を制限してはならない』(こちらは2010年刊と少し古いですが)にも、同様の批判がたくさん見受けられます。
糖尿病って、罹患人口が多いだけあって、センシティブな話題のようですね。
糖質制限で痩せる?痩せない?
糖尿病対策にはふみこめる立場ではありませんので、ダイエット法としての糖質制限にかかわるところ……糖質制限は痩せるか痩せないか、の観点から読める部分をご紹介します。
「単に体重を減らすのではなく、体についた脂肪を減らすには、脂肪の摂取を減らす低脂肪食と、ご飯やパン、うどんなどの炭水化物を減らす低炭水化物食のどちらが有効か調べた」研究への言及があります。
日本人にとって問題なのは「内臓脂肪」。
欧米人のように体重そのものを30キロとか50キロ落とさなければならない人は多くないからです。
ある研究によると、「低脂肪食は、低炭水化物食とくらべて体内の脂肪が1・7倍多く落ちることがわかりました。ところが体重は低炭水化物食のほうが減った」そうです。
その、体重が減る理由は、体内の水分が抜けただけ、とされています。
あ、もちろん、炭水化物を摂り過ぎたら、いくら脂肪の摂取を減らしても、内臓脂肪は減りづらくなるとただし書きはされていますよ!
以前書きましたが、糖質制限の流れでよく見かけた、「お腹が減った時にココナッツオイルを大さじ1杯摂る」を、私も試しにやってみたことがあります。
でも、体に合わない気がして、本当にすぐにやめました。
下の記事で触れています。
脂肪なら多くとってもいい、みたいな考え方は、わたしは個人的には疑問だったんです。
ダイエットに成功しているひともいるけど
糖質制限でダイエットに成功した話ももちろん聞きますし、わたしの知人でも約2名、ほんとうに痩せた人がいます。
でも、本当に痩せた人は、何か運動も組み合わせてることが多いです。
運動を組み入れるなら、そもそも話が変わってくるというか。
昔の日本人くらい筋肉を動かして、糖質をじゅうぶん摂るような生活をすることも、糖質制限をしてケトン体回路を活性化させて脳を動かすことも、どちらもできるんじゃないかと思っています。
でもとにかく個体差がある領域なので、基本的に、自分のからだで検証していただきたいのですけど、個人的には、この本を読んで、やっぱり日本人は米を食べたほうがいいよね!と、私は改めて思いました。
宮沢賢治「雨ニモマケズ」の玄米の量
宮沢賢治「雨ニモマケズ」に「一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ」というフレーズがあります。
玄米4合!?とびっくりされたことのある方、私以外にもいらっしゃると思います。
当時としてはかなり標準食だったみたいです。
その他の例としてよくあげられるのが、昔の日本陸軍は1日に6合の麦飯を食べさせる食事規定だったこと。
麦飯のほうがお腹に軽いから、玄米4合なら、気持ち同じくらいですかね?
ちなみに江戸時代の武士のサラリーの最小単位「一人扶持」だと、1人1日5合の飯米が支給されていたそうです。
というような食生活をしていた日本人が、お米と仲が悪いとは思えないんですよね。
民主的な食べ方
以前、お手当てお茶会で話題に上がったことの一つに、「どうやったら、自分が(子どもをはじめとする家族が)、本当に食べたいものがわかるか」が、ありました。
ゲストにきてくださったマクロビオティックの専門家さんの表現がおもしろかったです。
体細胞は何十兆個もあって、その中で舌の細胞なんてあまりにもほんの一部。舌の細胞の言うことばかり聞いていたのでは民主的ではないから、胃や腸の細胞がいうことを聞いてみませんか、とのことでした。
そうですね、腸の総面積は、テニスコート1枚分あるとか言いますものね。
舌なんてちっこすぎて比べ物になりません。確かに民主的ではないですね!
実際、日本人の腸内細菌とか酵素、そして、上記の本のように「体質」からアプローチすると、欧米由来の情報とはまた違うものが見えてきます。
上記『日本人の「体質」』、炭水化物ばかりでなく、脂肪や塩分、たんぱく質のとり方など、食事の支度の基本になりそうなところで、西洋系の栄養学とはまた違う観点が書かれています。
ご興味ある方は、1000円弱の安い本です、手にとってみてくださいね。
珍しい食材の可能性も夢見つつ
外国の珍しい食材を食べて、腸内細菌に素敵なマリアージュがおとずれるのにも、いつだって期待しています。
特にローでベジなものには期待値が高いです、わたしの趣味の問題です。
食事のしたくに迷う時は、でもやはり、洋食よりも、和食が妥当かなって思ってます。
砂糖に頼らない味付けの、できれば粗食がいいですよね。
楽ですしね^^)