「おもちの食べすぎに注意」
子どものころ、そんな一言を年賀状に添えた記憶があります。
でもそれはあくまでも「定型文」であって、おもちがみんなの大好物だなんて印象はありませんでした。
ところが自分が親になり、子どもを持ってみると……。
みんな、これが、おもちが大好きなんですよー。確かに「食べすぎに注意」レベルだと思います。
年末や新春ともなると、小学校や園や地域で、お餅つきの機会も目立ちます。
ここでは、そんな愛すべきおもちを、絵本でご紹介します!
(1)『おもちのきもち』かがくいひろし作
丸くても四角くても、えてしてぷっくら可愛いおもちのはずが、この絵本のおもちはいろいろ嫌がっています……。
今はかがみもちとして大事にされているけど、いつ食べられてしまうのだろうと戦々恐々。
杵でつかれて作られるというおもちの製法そのものが、おもちにとってはなかなかハードな体験なわけで。
そのうえちぎられ、最悪だとねばねばなっとうをつけられたりするのもたまらない!
いやだから、うにょーんと足を伸ばして逃げ出すあたりで、すでにおもちのすがたではありません。
そのあとの展開は、ぜひ絵本で読んでいただければと思います。
まーるく落ちがつくあたりが只者ではない絵本です。
かがくいひろしさんといえば「だるまさん」シリーズ
『おもちのきもち』の作者のかがくいひろしさんは、だるまさんシリーズでご存知の方が多いかと思います。
だるまさんシリーズは2008年1月に刊行開始。
一方『おもちのきもち』は2005年、第27回講談社絵本新人賞を受賞した、かがくいひろしさんのデビュー作です。
プロフィールを拝見して改めて驚いたのですが、50歳でデビューされてたんですね。
特別支援学校の先生として28年間、教壇に立ち続けたのち、2005年、50歳で遅咲きの作家デビュー。累計570万部を突破した「だるまさん」シリーズなど、乳幼児を大笑いさせる作品を次々と生み出したものの、わずか4年で急逝した絵本作家だ。
振り返れば、私が第一子を産んだあと、絵本の世界にぼちぼちなじみ始めた頃に、だるまさんシリーズ第1作が新刊として刊行されました。
その、なんというか大変フレッシュな驚きのあと、どんどんかがくいさんの本を見かけるようになり、図書館には『だるまさんが』の大判絵本がいつの間にか入っているし、目立つ作家さんだったので、まさかたった4年の活動期間でいらしたとは思いませんでした。
最後の絵本が『がまんのケーキ』。あの絵本が最終作だなんて、本当にびっくりです。
『がまんのケーキ』のケーキにも、独特の魅力があります。
こいたろうくんとかめぞうさんがケーキを食べるのをガマンするすがたが、とにかく可愛く面白くて、そのあまりに激しいガマンぶりを見ることで、ケーキがさらに美味しそうに見えるという……。
まさか絶筆でらしたとは思いませんでした……。
どこまでいっても、一筋縄ではいかない、絵本を書き続ける才能が、心から惜しまれます。
(2)『おもち!』石津ちひろ・文/村上康成・絵
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おもちはペッタンつくものですが、この絵本では、擬音がすごく生きています。
言葉遊びやオノマトペを楽しむお子さんにはぴったりですね。
石津ちひろさんといえば『くだものだもの』シリーズ
文章担当の石津ちひろさんは、『くだものだもの』『おやおやおやさい』などで有名。
『くだものだもの』のシリーズは、作画に注目して別の記事にしています。ご興味ある方は、以下の記事をお読みください。
ここでは、文の魅力にはまったお子さんに、おもちの絵本もいかがでしょうか。