教育的な絵本、美しい絵本、アート系絵本って、実は子ども、あんまり喜ばないんですよね。
ここで紹介するのは、若い頃はカルチャーっぽいものも少々。っていうようなおかーさんが、ちょっと嬉しい(かもしれない)うんちくや背景つきの、でも基本、子どもが喜ぶ絵本です。
隙を見て、読み聞かせ動画を追加していく予定です。
アートアニメーション作家・山村浩二さんの絵本『くだものだもの』
絵が、『頭山』の山村浩二さんだと気付いた時は仰天しました。
Wikipediaから代表作『頭山』の説明を引用しますと、
代表作『頭山』(2002年)は、2003年のアヌシー国際アニメーション映画祭アヌシー・クリスタル賞(最高賞グランプリ)受賞をはじめ、世界四大アニメーション映画祭(アヌシー・ザグレブ・オタワ・広島)のうちザグレブ、広島でもグランプリを獲得し、三冠の快挙を遂げた。第75回アカデミー賞短編アニメーション部門正式ノミネート(日本人初)。第6回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞。
日本のアートアニメーション界の、あまりにも代表的な作家さんでございます……。
いかにもな感じの絵本だったら気付いて買ったと思いますが、商業出版物の絵本として何の気なしに並んでいるものですから、ちっとも気づかなくて。
またこれが、ひねこびた、ええ感じのくだものになってるんですね。
子どもは食べ物大好きですから、
「かいすいよくには いかない すいか」
「びわのおわびは おわらない」
といったわかりやすいフレーズに合わせて、くだものがたくさん並んでいると喜びます。
ページの端々で、次のページに出てくるくだものが何かやっていて、子どもはそれを見つけて伏線を楽しむようにもなります。
シリーズ増えてますので、どれでもお好みで。ここは、シリーズ一番目だけ内容を挙げました。
山村浩二さんのアニメーションホームページはこちら。
http://www.yamamura-animation.jp/j-news.html
新作アニメーションの「”Parade” de Satie(サティの「パラード」)」見たいなぁ……
画家、イラストレーター・MAYA MAXXさんの絵本
とにかく絵が強いんですよね……。
だから、問答無用で子どもは惹きつけられます。
単純な色彩に、太い線。視覚が未発達な0歳児から、くっきり見えそうな、強い絵本。
説明が必要であるとも思えないのですが、Wikipediaから、Maya Maxxさんのプロフィールを引用させていただきます。
1993年以来毎年開催している個展をはじめ、よしもとばなな、山田詠美など小説の装丁画や絵本創作、CDジャケットデザイン等を手がけ]、若い世代からの支持も高い。フジテレビ系『ポンキッキーズ』やNHK教育テレビ『真剣10代しゃべり場』などテレビ番組にも出演、映画『ハチミツとクローバー』絵画指導など多方面で活動。
わたし的には、もう古本でしか手に入らないであろう、『ORPHAN』が一番好きなのですが。
「もうSEXをすることができないのかな?」のフレーズが、長女が2歳までは読み聞かせできたけど、長女がもう少し大きくなって以降は、さすがに差し控えておりますです。
『ちゅっちゅっ』は単純で可愛い絵本。0歳からおすすめ〜。ついでに子どもにちゅーしたらむっちゃ喜びます〜
ある種の盛り上がりが(私の好きな『ORPHAN』的に)感動を呼ぶという意味では、下記の『しろねこしろちゃん』も、母にいいですよ。
この方の絵、本当に強いので、ほろっときます。
MAYA MAXXさんブログはこちら。
http://mayamaxxblog.blogspot.jp/
グラフィックデザイナー・堀内誠一さんの絵本『くまとりすのおやつ』
マガジンハウスの看板雑誌のロゴを多く手がけ、今でもそれが使われ続けているデザイナーさん。
Wikipediaからプロフィールを転載させていただきます。
東京都生まれ。(中略)1948年現代美術会展激励賞。(中略)1968年から翌1969年にかけては澁澤龍彦とともに季刊誌である「血と薔薇」を編集した。1974年フランスパリ郊外のアントニーに移住。パリ在住日本人向けミニコミ誌「イリフネ・デフネ」(現OVNI)創刊に参画。1981年まで定住。1987年に下咽頭癌により死去。享年54。彼がデザインした平凡出版(現マガジンハウス)の雑誌、「an・an」「POPEYE」「BRUTUS」「Olive」は現在もなお、そのロゴが使用されている。
出版業界の隅っこに生息する私が、こんな大御所の方の絵本を、嬉しげに載せているのがおこがましい……と思うほどの、キャリアのデザイナーさんです。
よく思うんですけど、本物のデザイナーさんは、その方のクセや才能的なものばかりでなく、対象そのものの良さをぐっと伸ばしますよね。
ほりうちさんの絵本はいくつもあれど、テイストがきちんと違うんです。作家さんの持ち味を、伸ばされているのだと思います。
私が大好きなのは、下の、シンプルなちぎり絵がすてきな『くまとりすのおやつ』。
詩人・童話作家の岸田衿子さんの、
「きいちご ぽちんぽちん なってるか なってるよ」
「すっぱいか あまいだろ」
これまたシンプルで独特の言葉づかいに添えられた、見やすい絵柄が、子どもを惹きつけます。
うちの子みんな、大好きでした。
大御所なのでたくさんあるのですけど、せっかくだから、谷川俊太郎さんとの絵本シリーズの一つと、『ぐるんぱ』をあげますね。
そこここの図書館で見ているでしょう。
司書さんが薦めたい絵本に、堀内さんの絵本は、何かが必ずラインアップされてるだろうと思います。
実際子どもも大好きですので、お宅に一冊置いておくのはいいと思います!
詩人・谷川俊太郎さん×現代美術家・大竹伸朗さんの絵本『んぐまーま』
ここまで書いてきた本は、ある意味絵が中心でしたね。
ここで、文字が中心の本を。でも絵は、大竹伸朗さんですけど^^。
日本で唯一食えてる詩人と異名をとる(申し訳ありません……)谷川俊太郎さんの絵本は大変たくさんあります。
中でもこれがすごいなと思うのは、ありえない音の組み合わせを見ている気がするので。
オノマトペ絵本の大切さは「乳幼児への絵本読み聞かせ、ちょっとしたコツ」で書きましたが、この本を気持ちのいい息で読むのはなかなかに難易度が高く、子どもにたくさん、珍しい音と息を聞かせてあげることができます。
日本語の可能性に、一つ挑戦した本ですね。
大竹伸朗さんの絵が、またありえない感じで。
私はアブストラクト好きなんですけど、どちらかというと冷たい抽象が好きなので、大竹さんの絵は例外です。
どうしてこんなに動きがあって、生きているのだろうといつも思います。
すごい魅力ですよね。
大竹さんのプロフィールなんて、どうやって掲載して良いかわかりません。
便利に引用しているWikipediaも膨大でした(笑)。
私かつてはノイズ的なものもかじっていたものですから、大竹さんの音楽ユニットも好きでした。
宇和島産のみかんが季節になると売っているのですけど、その字面を見るたびに、いつも、ああまだあのあたり行ってない(直島含め)。と、思い出します。
東京都現代美術館で大規模個展が開かれた時には、大竹さんは、子どもの頃から絵がすごく上手でらっしゃること、見て確認しました。
ピカソも子どもの頃から絵が上手だったですよね……。
本物の抽象書ける人って、絵が上手な人多いです。
話が脱線してますが、ありえない音と、ありえない絵。
先入観のない小さな子ほど、『んぐまーま』は素直に楽しめるのではないでしょうか。
翻訳家、社会学者・金原瑞人さん訳の絵本『真昼の夢』
作者ではなく訳者をあげるのは反則ですが、訳が金原先生だから許していただけるでしょう。
いせひでこさんの『ユリユールおじさん』が好きな愛書家は多いと思います。
古い植物図鑑を直してほしい少女が、フランスの本作りの職人・ユリユールを訪ねる絵本。
仮フランス装と呼ばれる装丁があって、外国文学の翻訳書を作る時に一時流行ったのですが、これは、本物のフランス装の話ですよね。
絵の美しさとフランスの匂いが、素晴らしい絵本で、好きな大人は多いです。
大人向けの絵本としてはぜひ紹介したいのですけど、この項の主眼は、子どもが喜ぶ絵本。
子どもをいくつくらいに設定するかにもよりますけど、『ユリユールおじさん』は、小さい子どもには、一般に、難しすぎるかな。
という意味で、愛書家を同じ文脈でホロッとさせる、でも子どもが楽しめる、『真昼の夢』を紹介したいと思います。
金原先生は、『真昼の夢』は小さい子には難しいんじゃないかな、とおっしゃってましたし、実際この本、バタくさい絵柄のうえだまし絵が難しそうに思えるのですが、うちの子どもたちは3人とも、1歳から繰り返し読みました。3人目は今も読んでます。
1歳児でも、だまし絵の不思議さってわかるみたいですよ。
絵の面白さと、おそらく翻訳文の美しさ、リズムの良さで、惹きつけられるのではと思っています(読んでて大人が気持ちいいのもあるかもしれないですね)。
たった3人のサンプルではありますが、それぞれ好みも違うので、3人とも好きにはなる絵本ってあまり多くないんですね。
最後のページで、大人もぐっときますので、だまし絵楽しみがてら、めくってみてください。
ミュージシャンのマドンナ×小説家、児童文学作家・江國香織さん訳の絵本『イングリッシュ ローズィズ』
完全に女の子向け絵本ですね。
そして、幼稚園に通えるくらいの年齢になったほうが楽しめる内容です。
そのくらいになったら、THE 女子!な世界を女の子も楽しめてしまうというのがわかる絵本。
考えようによっては、因果なもんですね。
ミュージシャンのマドンナが文章を書いた絵本。
マドンナ説明必要かなぁ。私たちの世代はMTVでデビュー時から知ってますが、若い人は知らなかったりしますか?
アメリカ合衆国ミシガン州出身のポピュラー音楽のシンガーソングライター、女優、映画監督、文筆家、実業家。身長164cm。愛称は代表曲から来た「マテリアル・ガール (Material Girl)」、または「ポップスの女王」とも言われる。
Wikipediaより
そんなマドンナの文章を、ベストセラー作家であり、翻訳家でもある江國香織さんが訳されています。
江國香織さんも、説明が、必要な方とも思えないのですが、Wikipediaが存外コンパクトだったので引用します。
1987年の『草之丞の話』で童話作家として出発、『きらきらひかる』『落下する夕方』『神様のボート』などの小説作品で人気を得る。2004年、『号泣する準備はできていた』で直木賞受賞。詩作のほか、海外の絵本の翻訳も多数。父はエッセイストの江國滋。
直木賞作家ですから、小説家か、翻訳家として馴染みのある方が多いのではないかと思います。
詩人でもらっしゃいますね。
絵本って、字が少ないから翻訳簡単。って思うでしょう。
思いがちなんです。
本当は、すっっごく難しいんですね。
企画用サンプル作るために、自分で訳したこともあるんですけど、後ほど詩人の矢川澄子さんに訳していただいて、心の中で伏して、サンプルとはいえごめんなさい〜〜〜と、地中深く潜り込んだこともありました。
絵本は、言葉が少ないからこそ、凄まじく難しい。
詩人の仕事です。
小説家だからうまく絵本が訳せるかというと、きっと違うと思います。
江國さんは詩もお書きになるから、上手にこの世界が出ているのだと思うなぁ。
なんていうか、女子の意地悪さと優しさが、ちょっと尖った感じで上手に表現されてる絵本です。
きっとマドンナの原文も、こんな感じなのだと思います、原文対照したことないですけど。
大人も、普通に「わかる」ので。
マドンナらしいなー、とか、女子の世界を、子どもと一緒に楽しんでください。
ヨルダン王妃、ラーニア・アル・アブドッラー作の絵本『ふたりのサンドウィッチ』
上の『イングリッシュ ローズィズ』といい、こういう線画って、洋物絵本の特徴ですよね。
こちらはなんと、ヨルダンの王妃さまが書かれた本です。
カルチャー的なものを嗜んだことのあるお母さまだったら、異文化間コミュニケーションにも興味があるでしょう!(と決めつける)
ホムス(文中ではフムス)のサンドイッチを常食する女の子と、ピーナッツバターとジャムサンドを常食する女の子が、互いのサンドイッチが理解できなくて、なんてまずそうなものを食べているの!というところから、大勢を巻き込んだ喧嘩が始まり、なんて美味しいのかしら!と開眼し、仲直りする。
友情と喧嘩と仲直りの話です。
今の文脈なら、イスラームとアメリカの戦争および代理戦争と平和とも読めますね!
子どもはもちろん、そんな文脈は気にしませんけど、サンドイッチが美味しそうに見えるから。
小さいうちから、選んで読んで楽しみます。
私がピーナッツバターもホムスも好きなので、食べさせますから、大きくなってくると、子どもたちは、あれか〜〜と楽しんで読むようになります。ふむふむ違うよねと。
ちなみに私は、ピーナッツバターが砂糖入りだったら、ホムスサンドのほうに軍配あげますね。
ベジタリアニズムについて書いた本を読むと、お昼のチキンのサンドイッチを一食ピーナッツバターとジャムのサンドイッチに変えるだけでこれだけ地球に優しい!みたいな文章が出てくることありますけど、日本人には、ピーナッツバター×ジャムはおやつであって、ランチになるとは思えませんわねぇ。
でも、ピーナッツもナッツだし栄養豊富。砂糖過多でなければ、ランチになるのかな??
ひよこ豆とゴマのホムスのほうが体にいいような気はするけど、無糖のピーナッツバターを使えば引き分けということにしましょうか。
無糖のピーナッツバターとして、うちではこれ使ってます。
子どもの頃は好きでしたけど、普通に売ってる市販のピーナッツバターは、今では、甘すぎて食べられませんです。
【取寄】アリサン ピーナッツバタークランチ 454g
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私は上のクランチのほうが好きですが、子どもたちはスムースタイプが好きですね。
マンガ家・しりあがり寿さん×詩人・谷川俊太郎さんの絵本『おそばおばけ』
しりあがり寿さんは、大人向けのマンガで定評ありますよね。
かつてサブカルという言葉が揶揄でなく機能していた頃にはサブカルマンガの定番だったと思いますし、私もしりあがりさんのマンガの哲学性に打たれてみたり装丁のアート性というか祖父江慎すげ〜というか、まぁ、いろいろ読んでました、もっと若くて、もっとお酒を飲んでいた頃。
のちには新聞4コマなんてとこまで広がりを見せたしりあがりさん、子どもができてからは絵本以外はご無沙汰してましたが、先ほどググってみたら、なんと2014年春の叙勲で紫綬褒章受章とのこと。
えっ。そんな偉い方になられてたんですか。
プロフィールをWikipediaから引くと、
代表作は『真夜中の弥次さん喜多さん』、『弥次喜多 in DEEP』など。
白土三平や貸本ホラー漫画などをネタにした漫画マニア向けのパロディ作品や、『流星課長』などのシュールなサラリーマン物などを手がけ、独特のギャグ漫画家として評価を獲得する。Wikipediaより
上に出ている3作くらいは、さすがに発売当時に読んでます……。
絵本も複数冊あります。
面白いものもあり、感動を誘う、個人的には好きなものもあるんですけど、そーんなに子どもに大ウケする感じじゃないんですね。
でも下の『おそばおばけ』は違います。子どもにウケます。
またもや谷川俊太郎さんです。今の子どもの言語感覚は、実はその多くを谷川俊太郎さんに形作られているのではないでしょーか?
おそばに襲われ、おなかがまん丸になるまでおそばを食べる過程と、おそばをすする音が面白くて、子どもは、小さい頃から楽しみますよ。
シンプルな線画も可愛い。
大人も、ああ、しりあがり寿にはこんな側面があるんだな〜〜と思いつつ、楽しんでください。
絵本作家・のぶみさんの絵本『おひめさまようちえん』
私のぶみさんって、マンガ家上がりの絵本作家さんだと思ってました。
ちょっとエッジの効いたマンガ家さんが、お子さんできて、自分のお子さんモデルに書き始めたら、そちらが人気出ちゃったパターンかと、てっきり……。
疑念が拭えず、ご本人のHPを見たあとで、Wikipediaも確認してしまいました。
日本児童教育専門学校在学中に絵本を描き始め、1999年に『ぼくとなべお』で絵本作家としてデビュー。
Wikipediaより
本当に純正絵本作家さんなのですね。失礼いたしました……!
このように、マンガ家さんかな?と思いこむくらい、コマ運び的なものがイイので、大人も普通に楽しめますよ!
うちは女子なので、やはり『おひめさまようちえん』かなと。
泣かされるのイヤなので私は買ってませんが(笑)、大人にはベストセラー『ママがおばけになっちゃった!』もいいと思います。
女の子には『おひめさまようちえん』シリーズ、男の子には『ぼく、仮面ライダーになる!』シリーズもぜひ。
ちゃーんと今の実在ライダーなのが面白いです。
あ、非実在存在か^^。
さすが講談社、資本が入ってるね!……って、そういうものでもないのかな? 素朴に面白いです。
のぶみさんの公式ホームページはこちらです。
絵本作家のぶみ オフィシャルサイト
絵本作家、マンガ家・工藤ノリコさんの絵本『ノラネコぐんだん』シリーズ
のぶみさんがマンガ家さんだと思っていた理由の一つに、工藤ノリコさんのプロフィールにマンガ家が入っていることもあるのではと思いました。
子どもの絵本の挿絵でよくお見かけしていて、ああマンガ家さんなのか〜なるほど〜と思っていたわけですね。
最初は、私はそんなに好みの絵柄ではなかったのですが(すみません)、斎藤孝さんの声を出すことば絵本シリーズで出会い、これのせいで私は、子供とともに、「寿限無」が言えるようになってしまったのですけど
そうやっているうちに、絵柄にも馴染んでしまいました。
ノラネコぐんだんは、ピンで語りたいわけではないのです。
ぜひ、シリーズを1冊目「パンこうじょう」から、第2弾「きしゃぽっぽ」、第3弾「おすしやさん」、第4弾「そらをとぶ」まで、すべて、読んでください。
2冊目見た時に、1冊目との類似と相違に感動したんですけど、同じコマ割り(って言っていいよね?)で、どこまで新しくやれるのか。
シリーズとして面白いので、ついつい全部揃えています。
子どもも楽しいけど、大人も楽しいですよ!
工藤ノリコさん、メインはTwitterアカウントみたいですね。
こちらです。 ↓
工藤ノリコ (@Noriko_Kudoh) | Twitter
エルヴェ・テュレ作、谷川俊太郎訳の絵本『まるまるまるのほん』
これは、素晴らしいです。とにかく、買ってください。
子どもが参加型。そしてアナログ。シンプル。
1歳児でも参加できる程度のアクションですが、大きめのお子さんでも楽しめる。
色使いもポップで楽しい、フランス発の絵本です。
広告系のイラストレーターさんが、絵本を書くようになって、日本版が出たようですね。
センスいいです。
というのを置いておいてもですね。あまりのシンプルさ、そして汎用性の高さに、大人も納得せざるをえません。
文化系とかつける必要もない、キャプションいらない類の本なんですけど、これだけ絵本並べてこれを挙げないのは良くないかな、と思いました。というくらい、一家に一冊あって構わない本です。
本当に子どもの教育にいい玩具とは
以前子どもの発達の研究を専門としている先生に、どういった知育玩具が子どもの教育にいいのか、伺ったことがありました。
ご返答は、余計な刺激のないもの。ということでした。
D◉の知育ソフトなどの開発相談にものるという先生だったのですけど、大人はどうしても、何か仕掛けを作りたがるそうです。
商品ですからお金を払う大人に向けて、手抜きに見えないよう飾りをつけようとするのは世の理なわけですが。
でもその仕掛けに子どもの注意が惹きつけられることで、肝心の、発達させたい部分への作用がおろそかになるそうなんですね。
子どもは、ギミックにばかり惹きつけられてしまうそうです。
テレビから子どもは学ばない、という有名な研究と、2009年の『ベイビー・アインシュタイン』(今でも売られてますよね)の返金騒動などもありますが、子どもがじーっと画面を見ているのは、学んでいるのではなく、単に刺激に惹きつけられて離れられないだけなのかもしれないです。
だから、余計なものはいらない。
ということなんですけど、この絵本には、そういう知育ソフトが育てたいと思い、ギミックゆえに叶えられないでいる、すべてが詰まっていると思えてなりません。
平面にできることの可能性が感じられる絵本ですよ。
大人は感心し、子どもも大好きです! 楽しいから^^
追記:同じ作者の、『いろいろいろの本』も買いました。
「いろを混ぜる」ことがテーマのこの絵本、絵の具のテクスチャーがとてもリアルに印刷されていて、本当に混ざってる!と思います。
「まるまるまる」よりとっつきが悪いかな?と思いましたけど、「まるまるまる」と同じくらい参加型なので、意味のわからないであろう2歳児でも、高度な内容を楽しんでいましたよ。
同じようなテーマでは、『あおくんときいろちゃん』もおすすめです。
言わずとしれたロングセラー。
私も子どもの頃に好きだった絵本ですが、完全にアブストラクトなのに、ちゃんと擬人化されて見える、これも面白いですね。
そして、大人にも満足な、センスのいい絵本です。
デビッド・A. カーター作『あかまるちゃん』
仕掛け絵本です。
もともとは自分のために原書で買ったんですけど、いつの間にか子どもが遊ぶようになりました。
汚くなっていて恐縮ですが、原書の裏表紙に載っている飛び出す図形を紹介すると、こんな感じのものが、いろいろ、ぼーん、と飛び出してきます。
抽象的な立体で、ちゃんと大きいです。
いろんな形で飛び出ます。本当に飛び出ます。
で、その形の中のどこかに「赤まる」が使われていて、それを探すという絵本。
文章は、原書は擬音というか音遊びが中心で、日本語版のほうは、そういう遊びはなくて、もうあってもなくてもいい的に割り切られた訳になっています。
文章はあくまでもそえもの。子どもは立体の形と色の面白さにつられます。
だから、適当にしゃべくりながら、動かして(飛び出させて)、「あかまるちゃんはどーこだ」って読んであげると、一生懸命、楽しく探しますね。
いろんなところにいるんですよ、あかまるちゃんが。
とっても勢いよく図形が飛び出るので……。
目の色が変わった子どもには……もちろん、壊されます。
でもねぇ、高いけども、壊されても、遊ばせてあげたいと思って、今2冊目です。
絵本作家・酒井駒子さん作『よるくま』
この項を読むような方で、酒井駒子さんの絵に、惹かれない方はいないのではないかと思います。
プロフィールをご紹介します。
酒井 駒子(さかい こまこ、1966年 – )は、日本の絵本作家。兵庫県生まれ。東京芸術大学美術学部油絵科卒業。(中略)1998年『リコちゃんのおうち』で絵本作家としてデビュー。(中略)2004年、『きつねのかみさま』(あまんきみこ文)で第9回日本絵本賞、2009年、『くまとやまねこ』(湯本香樹実文)で第40回講談社出版文化賞受賞。
作品は海外でも評価が高く、2005年に『金曜日の砂糖ちゃん』でブラチスラバ世界絵本原画展で金牌、2006年に『ぼく おかあさんのこと…』でフランスのPITCHOU賞およびオランダの銀の石筆賞を受賞。『ゆきがやんだら』でも2009年の銀の石筆賞を受賞している。ほか、ニューヨーク・タイムズの「2009年の子供の絵本最良の10冊」にも選ばれている。
Wikipediaより
海外での受賞歴の多さを見てもわかる、日本人離れした絵柄の方です。
サンタクロースというとノーマンロックウェルの絵柄が浮かぶように、絵本の可愛い女の子というと酒井駒子さんの絵が浮かぶような気がします。
が、大人がそのように魅かれるものを、得てして子どもは好まない……はずが。
ここで特に紹介する『よるくま』、とても高度な絵本なのに、子どもがすごく好きなんですね。
話者の視点が子どもと母とで変わるけど、母はそんなに描き込まれていないんです。
絵による説明が少ないから、ある意味文字の書体を見ないと、どこが誰のセリフなのか、どこまでが子どもの現実でどこから物語なのか、はっきりしない。
読み聞かせるとき、声色変えたりなど、特に工夫もしてないものですから、把握が難しいはずなのに、1歳とか2歳の子どもでも、なんども読んでとせがむんですね。
もっと高度に物語が入れ子になっている、クリスマスのよるくまでも同じです。
最初、買いはしたけど、この類はあんまり読まれないだろうな、って思ってたんです。
まさかこんなに子どもに読まれるとは……。
……すごいですよねぇ!
ボイスパフォーマンスが好きなら迷わずこの絵本。『あーと いってよ あー』
この絵本は、音楽に多少造詣のある方、とくに歌やボイスに興味のある方には、ぜひお買い求めいただければと思います。
渋い絵でしょ?
今時の子どもが好きそうな絵本だとは思えない外見です。
でも参加型絵本ですので、子どもに対する訴求力、か〜な〜り、強いです。
1歳児でも、夢中になって一緒にやります。
そしてボイスに興味のある大人が愕然とするまでの、「あー」を利用した表現力。
こんな風にあーを言うと、こう変わる。というのが延々と描かれています。
またこれが、変わるし、違うんですよ。
読みながらやってて面白い。
作家さんたちを見てみると、
文章は、小野寺 悦子 さん。
小野寺 悦子(おのでら えつこ、1942年 – )は、日本の詩人、童話作家。岩手県盛岡市出身、在住。
Wikipediaより
イラストは、 堀川 理万子さん。
公式ホームページがあります。http://www.rimako.net/index.html
お二人とも、決して音楽パフォーマンス系ではないんですよね。
ポエトリーリーディングでもやってらしたのか……?
結局、真に「童心を忘れない」というのは、こういう発想ができるということなのかもしれません。
素晴らしいです。
絵本作家・加古里子さん作『だるまちゃんとかみなりちゃん』(福音館書店)
自分が幼稚園の頃に好きだった絵本ですが、タイトルまったく覚えてなくて、子どもをもってから再会し、この絵をすごく見入っていたよなぁと、幼き頃の自分を思い出しました。
見入っていたのは、表紙でなく、中身です。
表紙は普通に懐かしいテイストの絵柄。
作家さんのプロフィールを Wikipediaより引用します。
加古 里子(かこ さとし、1926年3月31日 - )は、日本の絵本作家、児童文学者。工学博士、技術士(化学)。本名は、中島 哲(なかじま さとし)。ペンネームの「里子」は俳号。かこさとし名義でも活動している。
私、『からすのパンやさん』(偕成社)と同じ作家さんだって気づいてませんでした。
『だるまちゃん』シリーズは「さとこ」さんが書いたものだと思っていて、『からすのパンやさん』のシリーズは「さとし」さんだから。
本来的に自分は絵本に縁遠いのがよくわかります……。
Amazonで見たら、どっちも漢字になってるけど、絵本上の表記は揃ってないんですよ。
『からすのパンやさん』のパンのページも好きだけど、だるまちゃんとかみなりちゃんの、このレトロフューチャー感はすごいです。
見開き大きいのでパノラマ撮影です!(初めて使った)
大阪万博前の、未来がまだ未来だった時代の、科学が夢に溢れていた時代の雰囲気がそのまま可愛らしい絵になっている。この絵が、好きだったんですよね。
今見ても、この線の懐かしさと、未来感のマッチングは面白いです。
今の子どもも好きですよ。書き込み細かいですしね。
☆ 望月 索 ☆
自分に“ちょうどいい”から気持ちいい。
らくなちゅらるライフプランナー