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砂糖は強烈!歴史マンガ『アルテ』にみる調味料/娘と読む大人のマンガ2

砂糖は強烈!歴史マンガ『アルテ』にみる調味料/娘と読む大人のマンガ2

最近娘と一緒に読み直して、以前から書きたい!と思っていた、その思いを新たにしました。

「娘と読む大人のマンガ」今回は一作品のみ。大久保圭さんの『アルテ』です。

 

『アルテ』はどんな作品?

ルネサンス期のイタリアで、絵の職人になりたい女性アルテ(貧しいが貴族出身)が、いろいろ活躍するお話です。

女性が絵描きをめざすことそのもののハードルが高い時代、前向きに道を切り開いていくアルテの姿は好感度が高すぎる。

絵の美しさ、余計な性的描写のないところもあわせ、今後も娘と読み続けたいマンガのひとつです。

(「高級娼婦」など、当然考えられる職種のかたもきちんと出てくるのがまたバランスがいいと思います。)

書こうと思ってみると、いつの間にかTVアニメになっていて、さらに、けっこう読まれているみたいですね。

『月刊コミックゼノン』編集部の久永兼士の言によれば、大久保にはルネサンス期のイタリアを舞台を描きたいという熱意があり、その熱意に編集がほだされる形で連載が始まった。
2021年1月時点で単行本の累計発行部数は140万部を突破している。2014年の「NEXTブレイク漫画RANKING」では、15位に選ばれた。

Wikipediaより

背景の密度もすごい、娘が小学生だったころから親子で読んできた素敵なマンガなので、読まれているのうれしいです!

 

マンガ『アルテ』にみる調味料と料理

今回とくにとりあげたいのは、5巻の料理シーンです。

ヴェネツィア貴族の女の子がアルテに心をひらくエピソードです。

下はアニメーションの、該当回のものと思われますね。

 

 
 
 
 
 
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ストーリーはマンガを読んでいただければと思います。

ここでは、どうしても見過ごせなかった一コマをとりあげます。

冒頭に拡大した一コマ、見開きで追わせていただきます。

当時砂糖は高級品です。

貧乏貴族だったアルテは砂糖を食べたことがありません。

高級娼婦の友人からドラジェをもらったことはあるのですが、この話の流れでは、金平糖をもらっています。

金平糖を食べたときのアルテの反応が、心を打ちました。

「うわっ、ちょっと“辛い”と思っちゃった

砂糖だけだと強烈なのね」

アルテの食べた砂糖は、いまの白砂糖ほどの精製度ではないと予想しますが、それでも、食べなれない人にはじゅうぶんな刺激だったはず。

このネーム、作者さんが実体験なく書いているとしたら、本当にすごいと思います……

 

砂糖は中毒性のある刺激物

砂糖が「甘い塩」と呼ばれていたというネーム、『アルテ』以外ではこの表現を見たことがありません。

でも、砂糖が強烈であることは、いまの私には体験としてわかっています。

妊娠をきっかけに、アルコールをやめました。

産後は乳腺が腫れるので肉は完全除去、乳製品も完全除去をして、でもやめられなかった白砂糖……。

砂糖を完全断ちするまで一番苦労があったのですが、最終的には、授乳中の目のトラブルのもとになることも自覚し、白砂糖も断ちました。

一番苦労するくらい、砂糖には、本当に、中毒性があります。

今は、食べなくても平気だし、たまに食べることもあるくらいのつきあいなので、アルコールを例に考えれば、砂糖への依存はない段階にあると思います。

そのように、砂糖を常食しない人間が食べると、白砂糖って、すごい刺激物なんです。

わさびなどに通じますね。

そのへんで売っている、市販の甘いものを食べると、すでにおいしさよりも、鼻につんとくる刺激が先に立ちます。

それはそれで、辛いもの中毒のような常習性を呼ぶのかもしれませんが……

辛いものの中毒性と違うのは、質のいい和三盆や甘さを控えた洋菓子ならそこまで激烈ではないのですが、うかつな市販菓子を食べると、即座に喉が腫れることです。

ほんとうに食べた瞬間に腫れる。おもしろいほどです。

 

砂糖の刺激で腫れる場所

長く、どこが腫れるのかわたしにはわかりませんでした。

が、呼吸の講座の成田先生とお話しするうちに、慢性炎症が問題になる上咽頭であることがわかりました。

上咽頭が瞬時に腫れるのは、砂糖の刺激を感じたとき、さらに、人工的に強化された、香り系の化学物質にさらされたときです。

本当にてきめんで、腫れた!と気づいた後にお手当てをしないと、以前のわたしだったらそのまま喉を腫らして体調を崩しました。

このような体験が、マンガの一コマに収まっているのを見たとき、感動しないわけはないというか、本筋に関係ないこういうリアリティって、いかに『アルテ』が上質のマンガであるかがわかると思います。

 

料理は工程が多ければ美味しいわけじゃない

もう一点、このエピソードで面白いのは、シンプルなものがおいしいというのを新しいかたちで見せてくれているところ。

茹でたり煮たり焼いたり、工程が23もある、その日一番複雑な料理は、みんなにそこまでウケがよくないのです。

下の、工程が23の「雛鳥の松の実詰め」と、

単に焼いただけの豚肉のローストを比べたあたりです。

シンプルな調理ってほんとうにおいしい。

(だからきっとレオさんの料理もおいしい)

食材と調味料をきちんと選べば、単なる塩焼きがアホほどおいしい。肉もそうですが、野菜もそうです。

現代で工程が複雑であることの背景には食材の栄養や味を化学的に捨てていく処理や背景があるので、いろんな意味でリアルですよねぇ。

質の悪い材料だから、砂糖や化学調味料を入れないと食べられたものじゃない、という加工品は、もう街じゅうにあふれてますよね。

 

おもしろいから読んでみて

というわけで、アルテ、おすすめです!

今回の参考巻は、5巻です!

追伸:娘と読む大人のマンガ、以前書いたもの。

娘と読む大人のマンガ:教育的なものからエンタメまで、親子で読んで楽しめるもの9つ

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執筆者について

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本やムックの編集者、時々ライター、一般社団法人 日本マクロヘルス協会理事。3人の子を育てる高齢出産ワーキングマザー。編著に『子どもを守る自然な手当て』、企画・翻訳書に『小児科医が教える 親子にやさしい自然育児』『親子で楽しむ おむつなし育児』など。大人向けのノンフィクションや小説、実用書、児童文学、絵本など、多くの出版物を編集・製作中。趣味はマンガ読み。

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