メルマガ読者さんとのオンラインお話し会で、ご質問をいただきました。
生後数ヶ月の赤ちゃんの、ほっぺたの肌荒れが気になるとのことでした。
プルプルすべすべであるはずのほっぺが荒れていると気になりますよね。
その気持ちわたしにも覚えがある……。
ここでは、自分に合成界面活性剤へのアレルギーがあるから、ケミカルな製品をできるだけ避けてきた親として、
#1 赤ちゃんの保湿に関するわたしの基本的な考え方
#2 食べ物との関係(母乳を中心に)
#3 それでも赤ちゃんの肌に何かをつけたい時に何をつけるか
の3回シリーズで書いてみます。
赤ちゃんの肌は乾燥しやすい
手元にある、東京都の保健所で頂いた公的な子育て資料に、
赤ちゃんの皮膚は大人と比べ、とてもデリケートです。そのため、トラブルを起こしやすいので普段からスキンケアが大切です。
東京都福祉保健局の冊子より
と書いてあります。これはとても一般的な表現です。
「赤ちゃんの肌は、角質層が大人より薄く、バリア機能も未熟なので、乾燥しやすい。保湿してあげてください」といった主旨の文章を、いろんなところで見かけると思います。
だから親は、デリケートな赤ちゃんにぴったりのスキンケア、主に保湿のためのものを探すことになります。
わたしもそうでした。
赤ちゃんに石けん洗いは必要か
あるとき、助産師さんから、「『沐浴していない』赤ちゃんに会ったことがあるけど、それは綺麗でしたよ。赤ちゃんの肌には自浄作用がありますよ」と聞いたのがきっかけでした。
子どもをもつ前ですが、作家の五木寛之は、お風呂で石けんで洗わない、といった話も聞いたこともあります(その後、シャンプーは2ヶ月に1回、といった内容を含む本も出たようです)。
その時は理解できませんでした。知人から聞いた話でソースは定かではありませんが、そんな五木寛之の肌を調べてみたところ、不潔どころか、皮膚の常在菌のバランスが、とても良い肌だったのだそうです。
助産師さんの話を聞いた時に、いくつかの点が頭で結びつきました。
肌に自浄作用があり、成人男性が石けんで洗わないことが可能なら、生まれたばかりの赤ちゃんは、そう不潔にも、ならないんじゃないかしら……?
そこで、産後の養生期の腰に負担のかかる姿勢をしてまで、新生児に入浴という体力的な負荷をかけてまで、沐浴をしないことにしました。
おまたやお尻はお湯で軽く洗うのに近いくらいに、ぬるま湯をたっぷり含ませた布で清拭(せいしき)することはありましたが、基本、赤ちゃんの皮膚の代謝に任せました(*)。
【*注意:助産師さんのアドバイスによると、新生児の鼠蹊部などに、産後、しつこく胎脂が残るところがあれば、それは洗うほうがいいそうです。自分の脂にかぶれることもあるとのことです……】
沐浴の仕方でも習うような石けん類を使った洗い方は、一度もしませんでした。
赤ちゃんは、自分の皮膚の代謝で、新生児ならではの皮膚のもろもろも、どんどん落としていきました。
こすらないので自然に落ちるに任せる状態です。ちょっと毛羽立っている部分はありました。
でも、臭くなるなど、不潔感を感じる状態にはなりません。赤ちゃんは、基本的には、母乳を思わせる匂い。
1ヶ月健診の時に助産院で報告すると、そうなのよね、と頷いたベテランの助産師さんが、「ほら、きれいでしょ?」と、そこにいるインターンさんたちを呼んで、その場にいる人たちが見て驚いたのを覚えています。
肌断食と乾燥
その後、以下の本で、肌断食に出会いました。
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著者がスキンケアをやめるまでの話が赤裸々に書いてあります。
読みやすく面白いので、スキンケアをしたら気分が上がるの!という、そこへの嗜好性が高い人以外は、ぜひ読んでみるのをお勧めします。
興味を持って試してみたわたし自身、「基礎化粧品」を含むスキンケアをすっかりやめてしまい、この冬でもう二冬め。
以前はパリパリしていた肌が、何もつけなくても大丈夫になっているのですけど、この考え方でいくと、乾燥は、自分の皮膚のバリア機能が正常であれば、防ぐことができます。
そして皮膚のバリア機能に負担をかけているのが、スキンケアだったりするのです。
大人でも負担になるスキンケア。果たして赤ちゃんには必要なんでしょうか。
自浄作用があるなら過剰に落とす必要はない。過剰に落とさなければ、補う必要もない。
新生児の沐浴段階では、顔は「濡らしたガーゼで拭う」といった記述も多いですが、乳児湿疹や脂漏性湿疹への対処の方法となると、しっかり洗うことを薦める例は多いです。
例えば上記、都内の保健所からもらった冊子には
乳児湿疹:アトピー性皮膚炎と間違われやすいものですが、新陳代謝が盛んで皮膚がデリケートなためにできるものです。赤くなってブツブツができている時は毎日お風呂できれいに洗いましょう。
脂漏性湿疹:かさぶたが固くなっている時はお風呂に入る30分くらい前にオリーブ油をつけ、ふやかした後石けんで洗います。一度に全部取りきれないので毎日少しずつ取りましょう。
東京都福祉保健局の冊子より
とあります。
肌断食で、スキンケアを必要としなくなってから上記を見てみると、皮膚のバリア機能が育つ途中の赤ちゃんが、まさに、皮脂の分泌量を含む外界とのバランスの取り方を学び、皮膚の常在菌(善玉菌)を育てているときに、どんどん洗い落として、余計なものを足すことを続けることで、健全なバリア機能が育たないのではないかしら。と感じます。
赤ちゃんの肌は引き算で考える
ナチュラルランドリーの講座でよく話すことですが、水で洗うだけで、洗濯物の汚れの大半は落ちてしまいます。
あと残るのが、水で落とせない油性の汚れ。
それもお湯で洗えば、気になる油分もかなり落ちていきます。
食器を洗う際の経験で、皆さん覚えがありませんか?
油汚れはお湯のほうが落ちますし、お湯で洗うと手の油分も余計に落ちますよね(つまりお湯のほうが手が荒れやすいですよね?)。
乾燥しやすい赤ちゃんのデリケートなお肌を、お湯で洗い、なおかつ石けんで洗うことで、皮脂をどんどん落とすと、洗い物で主婦湿疹が絶えない手のような、悪循環を招いている気がしませんか?
赤ちゃんの皮膚の荒れに悩んだ時は、保湿する前に、洗いすぎていないか、考えてみてください。
赤ちゃんの肌には、何かを足すまえに、まず引き算で考えてみるのもいいと思います。
次回は、食べ物との関係を書きたいと思います。
【参考文献】