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マスクが子どもの発達に影響する?顔の見分けの臨界期について

マスクが子どもの発達に影響する?顔の見分けの臨界期について

ずいぶん春らしくぽかぽかした日でも、見渡すとほとんどの人がマスクをつけています。

なにごとも66日続けると習慣になるといいますが、マスクはもう完全に生活習慣に……

春の陽気のなか、マスクをつけた小さな子どもがマスクをつけた大人と散歩しているのを見ると、複雑な気持ちになりました。

マスクの気になる点について書いてみます。

 

マスクつけっぱなしの一般的な問題点

すでに下のようなことがいわれています。

・マスクで肌荒れする

・マスクをして呼吸をすると、酸素が微妙に足りなくなるので学習や作業の効率が落ちる

カビや菌の温床になりかえって不衛生。

・どうしても口呼吸になるから口のなかが乾燥し、虫歯が増える

・マスクの負担により顎関節症が増えている

下の2点は、「歯医者さんが教える呼吸の講座」の成田先生からも、調査結果が出ているとうかがいました。

実際油断をすると、子どもの顔つきがなんだか変わっていると感じたことがあって……

授業中、息苦しくなるよりは適宜マスクを外していい、

マスクをしていても、鼻で呼吸するよう自分で意識してね、と、小学生にはしつこく話しています。

 

マスク着用が子どもにもたらす悪影響

幼児から上の子どもにマスクをつけさせることで、子どもの心身に悪影響を及ぼしているという調査結果もあります。

ドイツでの調査によると、

それによると、マスクによる症状として多い順に、頭痛(53.3%)、集中力低下(49.5%)、不快感(42.1%)、学習障害(38.0%)、眠気・疲れ(36.5%)、圧迫感(35.6%)、息切れ感(29.7%)、めまい(26.4%)、頸部乾燥(22.7%)でした。失神や吐き気といった症状も2割程度に見られます。さらに精神面としては以前と比べて、イライラするようになった(60.4%)、快活さが減った(49.3%)、園や学校への登校意欲減少(44.0%)、睡眠障害(31.1%)と、とても深刻な内容が続きます。このような症状を保護者へ訴えた子どもは全体の68%にも上りました。

ヨミドクター(読売新聞)より

見聞きする症状ですよね。上記を受け、

発達段階の子どもが多い家庭では、外部との接触の少ない場所などでは積極的にマスクを外してコミュニケーションしあうことも求められます。

と書かれているのですが、やはり、子どもと春の道を散歩するような機会には、積極的にはずしてあげてほしいです。

花を愛でたり、季節の香りを楽しんでほしい……

 

大人のマスクも子どもに悪影響?

散歩中の犬どうしが鉢合わせて威嚇しあうのを見ても、あらゆる動物が、それぞれのやりかたでよそ者(敵)と知人(味方)を認識しているのはわかりますよね。

わたしたちが味方を認識するときってどうなっているんでしょう?

うじゃうじゃとよそ者がいても平気で過ごせる、知らない人で満員のカフェに入っていける、のは、人類の特性なんだそうです。

ヒトと遺伝子が近いはずの霊長類でも、それはできません。

たとえばチンパンジーは、群れの全員を知っているそうです。

逆にいうと、知らない個体とは、群れられないということ。

ヒトは、自分でわかっているように、その場で群れている全員を知る必要はありません。

とても匿名性が高い社会でくらすわたしたちは、誰かを知っているだけでいいんです。

その誰かって、当然ですが、親の顔を見分けることから始まります。

 

顔の見分けには臨界期がある

羊水にも、母乳にも味があって、胎児や乳児は、母親が食べている物の味を知っています。

だから、お母さんが好むものを子どもも好むようになる。

結果、この集団の人々はこのスパイスが好きだけど、別の集団の人々はあまり好きじゃない、などの例が、社会的にいくらでも生まれていきますよね。

それと同じようなことが、人の顔の見分けについても起きています。

赤ちゃんは親の顔を中心に、人の顔を見分け、分類していきます。

3か月の赤ちゃんでも、自分の親と同じ系の顔(たとえば同じ人種の人の顔)に注意を向けるんだそうです。

もう少し大きくなると、いろんな人種の人の顔を、とてもじょうずに分類できる時期がやってきます。

その後月齢9か月もすぎると、自分のまわりの人々以外を詳細に見分けるのが、下手になっていくそうです。

すべての言語を聞き分けられる時期をへて、その後、自分の母国語に集中して行く、言語の臨界期と同じです。

人の顔の見分けについても臨界期があるんですね。

 

臨界期がくるまでに、顔について学習できないのでは?

満員のカフェに入っていくヒトは、人の顔を見分けられないから平気で入れるわけではなく、その集団が自分の味方かどうかを瞬時に見分け、分類できるから、中に入っていけるのです。

話す前には浴びるように言葉を聞いてきたように、人の顔を瞬時に見分けられるようになる前には浴びるように人の顔を見なければなりません。

だから本能的に、母親は赤ちゃんの顔をのぞきこむんでしょうね。

赤ちゃんに限りません。

小さな子どももずっと、人の顔を見て、人として必要なことを学習しています。

たとえば、生後半年前後から就学前頃までは、脳の視覚野という部分の発達の感受性期にあたります。他者の目や口の動き、口元から発せられる音声など、顔全体の豊かな動きや音を見聞きする経験が重要です。しかし、今、多くの人がマスクをしていることで、子どもたちはこうした経験を得ることが難しくなっています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/60665fefcd6f32e57ef751ea6112f7d5d394289d?page=1

外国語の習得が成長してからだと面倒なものになるように、顔から瞬時にえられる情報や感情を理解できない子どもとして育ちかねない。

対人コミュニケーションにおいて、ちょっと面倒が生じてくる可能性があるんじゃないでしょうか。

 

エチケットマスクをつけっぱなしにしない

長じてから「コロナ世代」などといわれて、何かの問題が可視化されてからでは遅すぎますよね。

ここまでマスクが長期にわたるのなら、赤ちゃんや小さな子どもといるとき、本当に心がけて、マスクはできるだけはずしてあげたほうが……と思うわけです。

自分の子で実験したいマッドな人はいないと思います。

 

参考

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執筆者について

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本やムックの編集者、時々ライター、一般社団法人 日本マクロヘルス協会理事。3人の子を育てる高齢出産ワーキングマザー。編著に『子どもを守る自然な手当て』、企画・翻訳書に『小児科医が教える 親子にやさしい自然育児』『親子で楽しむ おむつなし育児』など。大人向けのノンフィクションや小説、実用書、児童文学、絵本など、多くの出版物を編集・製作中。趣味はマンガ読み。

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