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除菌ブームと衛生仮説:子どもの食物アレルギーについて

除菌ブームと衛生仮説:子どもの食物アレルギーについて

除菌がブームといわれたのは少し前の話。今はブームを超えて、消毒がデフォルトになっています。

除菌がまだブームの域だった2018年に、東京大学の公開セミナーで聞いた、子どものアレルギーの話を取り上げたいと思います。

(大学院農学生命科学研究科の村田幸久先生の講演を聞いた際の覚え書きをもとにしています。文責は筆者にあります)

 

子どもの食物アレルギーの増えかた

アレルギーが増えていく、右肩上がりのグラフに、見おぼえのある方は多いのではないかと思います。

いろいろなアレルギーがありますが、全体に、着実に増えているそうです。

各アレルギーのなか、講演で、公開セミナーの議題に取り上げられたのは食物アレルギー。

食物アレルギーは、あまりに増えすぎていて統計が追いついていない。他のアレルギーと並べた右肩上がりのグラフでは、収まらないレベルだと説明されました。

だから、巷でいわれている食物アレルギーは何倍になった、といった数字は正確なものではないそうです。

それでも一般的には、子どもの3〜8パーセントが食物アレルギーで、10年で1.8倍になった、といわれているとのことでした。

10年……。

短い期間でほぼ倍ですね!? すごい伸び率です。

 

なぜ食物アレルギーがそんなに増えているのか

専門家の間でも、この10年で何が変わったのか、検討しているとのお話がありました。

大気汚染、食品添加物等、なじみのある「考えられる要因」に混じって、とりあげられたのが、衛生仮説です。

「小さい頃、家畜がいるような環境で育つのはいい」という話を聞いたことはありませんか?

内容としてはまさにそれで、雑菌が必要というお話でした。

免疫が発動する仕組みから説明されたのですが……

マンガで学ぶ免疫の仕組み

ここでちょっと脱線します。

セミナー中、抗原提示細胞、ナイーブ T細胞、B細胞、マクロファージなどと筋道立てて説明いただいても、時間の限られている中、こちらの基礎的な記憶もあいまいだったので、その後、思わずマンガを読んで勉強してしまいました。

『はたらく細胞』というマンガです。流行ったのでご存知でしょうか。

赤血球、白血球、ヘルパーT細胞、ナイーブ T細胞、B細胞、マクロファージ……などなどの細胞が擬人化され、どういう仕組みで動いてるのか、ストーリー仕立て(バトル形式)で読ませるものです。

絵は、少年マンガなので流血など多めですが、ととのっていて、私みたいな少女マンガ読みにも読みやすかったです。

上のマンガを読んで、公開セミナーで先生が話された内容がようやくわかりました。

1巻だけでも、擬人化されたインフルエンザウイルスやスギ花粉と戦ったりしているので、免疫の基本的な仕組み、アレルギー反応の基本的な仕組みについては頭に入ります。

擦り傷でも大惨事…… になっているのを絵で見ると、自分の身体が愛しく思えてきますし、復習するには良いと思います。

 

アレルギーになるか、感染症になるか、どちらかを選ぶしかない

話を戻します。

公開セミナーで説明されていた衛生仮説によると、結局、免疫の仕組みとして、アレルギーになるか、感染症になるか、どちらかを選ぶしかないとのことでした。

その実例を初めてうかがい、心から納得しました。

東西ドイツの例です。

旧東ドイツと旧西ドイツって、分断されるまでは同質の集団だったと見なせますよね。

が、東西に分けられたことで、衛生環境に差が出ました。

今の多くの都市環境に近いような西ドイツ、昔ながらの農村環境を多く残した東ドイツ、という違いです。

ベルリンの壁が崩壊。東西ドイツの統一後、西ドイツと東ドイツを比べてみると、統一当初は西ドイツはアレルギーの人が多く、東ドイツは感染症の人が多かったそうです。

が、統一されて時間が経っていくと、東ドイツも衛生環境が西ドイツに近づいていき、アレルギー率が上がり、感染症率が下がったそうです。

なんて壮大な、国家レベルの人体実験でしょうか……

その他、

きょうだいが多いほうがアレルギー率が低い(上の子が雑菌を持ち込むから)。

指しゃぶりでアレルギーが減る(手についた雑菌を舐めるから)。

という研究結果もあるそうです。

薬の深刻なアレルギーも増えてきているそうですよ。

……本当に、子どもが置かれる環境、社会全体の話になっていきます。

除菌・抗菌しすぎず、石けんを多用しすぎず、ここはお手当て系で免疫きたえていきたいものですねぇ……と、2018年当時、思いました。

 

痛くない食物アレルギー検査法を研究

発表者の村田幸久先生は、侵襲性のない食物アレルギー検査を研究されているとのことでした。

パッチテストはそれそのものがアレルギーを呼び起こす(確かに!)。

痛い思いをさせて血液検査をしても、抗体がある=食物アレルギーであるとは限らない。(これ、アレルギー症状のある子どもの親の体験談として、よくうかがいます)

つまりどちらも不正確なので、経口抗原負荷試験……入院して、少量を摂取することで調べていく、結果が正確なアレルギー検査……もあるわけですが、検査入院ですから、いろんな意味でもちろん負担です。

そこで、正確で簡単な「尿検査」の実用化を目指しているそうです。

臨床試験は突破できたが、病院等で使いやすくするのにまだハードルがあるとのことでした。

2020年も終わりが近づく今は、もっと進んでいるんでしょうか……。

「感染症にならない」選択をしている今となっては、大人も子どもも、いつなんのアレルギーが発動されてもおかしくないです。

妊娠検査薬みたいなもので、調べられるようになると、助かりますね。

 

※石けんに頼らずともウイルス対策はできる。下記もよければお読みください。

ウイルス研究者もすすめる手の洗い方:ナチュラル手洗い

 

〈参考〉

https://www.a.u-tokyo.ac.jp/seminar/yousisyu/55-yousisyu.pdf

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執筆者について

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本やムックの編集者、時々ライター、一般社団法人 日本マクロヘルス協会理事。3人の子を育てる高齢出産ワーキングマザー。編著に『子どもを守る自然な手当て』、企画・翻訳書に『小児科医が教える 親子にやさしい自然育児』『親子で楽しむ おむつなし育児』など。大人向けのノンフィクションや小説、実用書、児童文学、絵本など、多くの出版物を編集・製作中。趣味はマンガ読み。

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