読むたびに、ああ、いい内容だな〜と素直に思える絵本があります。
親が「良い絵本」と思って買うものが、必ずしも子どもにウケないのは定石です。
良書と分類されるような絵本が本棚の肥やしになって、アンパンマンやディズニーのようなキャラクターもののほうが人気があることってよくありますよね(キャラクターものを否定しようとは思っていません、念のため)。
でも、中には、親子ともに楽しめる、「エンターテインメント」や「教育」を超えた、大切なことを教えてくれる絵本があります。
ここでは、母親が「忙しいけど本当はこうなんだよね」と初心にかえり、子どもが「こういうふうに伝えれば、考えればいいんだね」と思える絵本をご紹介します。
『こころからあいしてる』ジャン‐バプティステ バロニアン(著), ノリス カーン(イラスト)
これ本当にいい絵本です。
ふわふわしたアプローチのものは珍しくないと思うのですけど、この絵本では、「母が子を愛している」という事象を、羽や腕や目など身体の部位で行う、具体的な動作に落とし込んでいます。
読みながら、動作で再現してあげると、子どもにもさらに伝わりやすい。
良い本をありがとうと、作者さんに感謝したくなる絵本ですね。
何かを見失いそうになった時、読み聞かせながら、子どもを愛することの意味を、具体的に教えてもらえる気持ちになりますよ。
『ママがおこるとかなしいの』せがわ ふみこ (著), モチヅキ マリ(イラスト)
子どものことばって、ことば通りじゃないことって必ずあって、本当に伝えたいこと、その裏の意味を考える必要があることが、どうしてもあります。
めんどくさいな、と思うことももちろんあるのですけど、子ども本人にとっても「言いたいことを伝える」訓練は必要です。
この本は、子どもが自分の感情を腑分けするヒントになると同時に、親が子どものことばの真意を読み取るとはどういうことか、という基本を、ちょっと痛い思いもしつつ、改めて確認できる絵本です。
こんなに短く、わかりやすくまとめられてしまうことに、すごいなぁと思いますね。
『バーニー、いつまでもいっしょだよ』
すでに絶版です。古本で手に入りますが、図書館で探していただくしかないかもしれません。
大切なペットが死んでしまった子どもが、死を受け入れていく過程を、お涙頂戴要素をまったく入れず、表現した絵本です。
それをリアルに感じられる子どもは、お涙要素はすでにその子の中にあるからそれ以上は必要がない、自分が癒されていく過程を、この本から読み取れれば有用です。
それをリアルに感じられない子どもは、そういうものなのか、と現象として記憶し、いつか呼び起こすでしょう。
親としては、説明が難しいところを、やはり現象として伝えられるので、メンタルなバランスのよい絵本です。
読み聞かせしてあげて、こういうものだと、子どもに教えてあげるのは大切なことではないでしょうか。
『ぼくにげちゃうよ』マーガレット・ワイズ・ブラウン (著), クレメント・ハード(イラスト)
これも、母が子どもを愛していることを伝える絵本ですが、上の『こころからあいしてる』のような身体部位に直結するものではなく、話しことばで子どもをどんどん追いかけていく物語です。
うさぎのお母さんがクールで愛情たっぷりでいい感じ。
子どもが大好き!って直接的に伝えられる絵本は、こちらの気持ちもまぜこめますので、一緒に読むと、親子ともにほっこりしますね。
大変有名な作家さんで、『おやすみなさいおつきさま』が、オバマ元米大統領や、現皇太子妃・雅子様が小さい頃に読んだ絵本としても有名です。
『おやすみなさいおつきさま』マーガレット・ワイズ・ブラウン (著), クレメント・ハード(イラスト)
この『おやすみなさいおつきさま』は、『ぼくにげちゃうよ』とのつながりも感じられる作りになっています。
今回の趣旨とは少し違いますが、『おやすみなさいおつきさま』は、寝る前の行事として取り入れるのにいい本ですよ。
毎晩の最後の一冊として、定着させてしまうのもいいんじゃないかな、と思います。
寝る前に静かに癒されますね。