ビートルズ初期の「Eight Days A Week」なツアー風景
『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK —— The Touring Years』
http://thebeatles-eightdaysaweek.jp/
を見てきました。
とてもよくできたドキュメンタリー映画でした。
ビートルズに関して説明する必要はないような気がしますが。
でも旦那さんに以前、「ストーンズ」と言ったら
何それ?と言われたので、
ビートルズも名前だけの人はいらっしゃるかもしれません……。
(名前も知らない人はさすがにいないよね!?)
念のため引用すると、
主に1960年代に活動した世界的に有名なロックバンド。1962年10月5日にレコードデビュー。1970年4月10日に事実上解散した。(中略)
活動期間内に母国イギリスで12作のオリジナル・アルバムを発売し、その内11作が全英アルバムチャートで週間第1位を獲得した。11作の週間第1位の合計獲得数は162週。年間売り上げ最高アルバム4作と第1作『プリーズ・プリーズ・ミー』による連続30週第1位はいずれも1960年代の最高数。シングルは22作発売し、その内17作が第1位を獲得。アメリカなど世界各国においても高い販売数を記録し、ギネス・ワールド・レコーズに最も成功したグループアーティストと認定されている。
——Wikipediaより
まぁ史上最も成功した、すごい人たちなんですよ!
「Eight Days A Week」はアルバム『ラバーソウル』に入っているポップチューンです。
1週間に8日きみが好き〜〜!というようなラブソングですが、
映画では、1週間に8日くらい働いていた、
ビートルズの凄まじいTouring Yearsを想起させるフレーズとして、扱っています。
特に今さら新しく知る内容はないかな……?と思いつつ
長年お世話になっているビートルズのために何かしようと思って見に行った映画。
——びっくりしました。
人は、自分の置かれたことのない環境に関して、想像が及びません。
初めて大量のファンを動員した、
時代のパイオニアの苦労は計り知れないです。
20歳前後の、音楽が好きでやっているに違いない4人が、
ツアーに出るごとに、どんどん音楽できなくなっていく苦痛。
5万人規模のスタジアムで、PAシステムもなく、100W程度のアンプで
熱狂する観客に対峙する時の救いようのなさと、
それでも素晴らしいクオリティで演奏しているプロ根性。
その音声を、一部マイクが拾っていないところもありつつも、
映画にできるレベルに持って行く今のデジタルリマスター技術もすごいですが、
モニターもなく、何の音も聞こえないなか、
リンゴ・スター曰く「頭と尻の動きを見ながら」合わせていた、
しかもそれが合っているという、バンドマン根性にびっくりしました……。
desk top musicが走りだった頃、
三輪眞弘(日本の現代音楽の作曲家、メディアアーティスト。Wikipediaより)がシンポジウムで話していたなかに、「ピアニストだったら鍵盤なんて見ないでも弾けるよね?」という内容がありました。
ブラインドタッチができる人もまだ珍しいような時代だったので、その例だったのですけど、ロックミュージシャンも極めると、もちろんギターやベースなんて見ないでも弾けるし、音すら聞こえなくてもバンドとして演奏することができるんですね。
想像すらしませんでした。
ポール・マッカートニーの日本公演を見たらわかるのですけど、
ステージが上下するような動きのなかでも指運びが揺るがない。
長年音楽やってる友人が、うますぎる……と驚愕していました。
年をとればとっただけわかる、その技術の確かさと凄さ。
有名になる前から、「Eight Days A Week」ライブやって、
培われたライブ筋は、
ミュージシャンの人権なんて配慮されないワールドツアーでさらに
磨かれていたわけなんですね。
今でもツアーに出てくれてありがとう、ポール。
そしてリンゴ。もうすぐ会えるけど(見に行きます)。
ビートルズが素晴らしいから成功したわけではない
ここで、『偶然の科学』(早川書房)です。
見ながら、ところどころ涙を流しながら(だって好きなんだもん〜)
ずっと思い出していました。
2014年の時点でヤフー・リサーチ主任研究員を経てマイクロソフトリサーチ主任研究員になっているダンカン・ワッツの大変面白い著書。
その中に、「ミュージックラボ」という実験が出ています。
インターネットができたからこそ可能になった、
条件の違う平行世界を作り、無名のバンドの楽曲が
どのように「売れていく」かをトレースした実験です。
その結果をもとにすると、
明らかになったのは、他人が何をダウンロードしたかについての情報があると、人々は累積的優位の理論が予想するとおり、たしかにそれから影響を受けることだった。つまり、「社会的影響あり」のどの世界でも、自己判断のみの条件下に比べ、人気のある曲は一層人気があった(人気のない曲はいっそう人気がなかった)。
だが同時に、どの曲が最も人気を集めたか、つまりヒット曲になったかは世界によって違っていた。(中略)この予測不能性は、サイコロの表面を仔細に眺めてもどの目が出るかを予測する役には立たないのと同じで、曲の情報をもっと増やしても解消されなかった。——「偶然の科学」より
つまり、ビートルズは1位になるとは限らないんです。
1位になることもあれば、10位になることもあるんですよね。
私にとってはビートルズは絶対です。
ビートルズが素晴らしいから、みんなこれだけ熱狂している。
映画内においてインタビューを受けている、ウーピー・ゴールドバーグ、シガニー・ウィーバー、エルヴィス・コステロなどの多くの方たちにとってもそうでしょう。
まず圧倒的に、ビートルズの「異質なまでのすばらしさ」がある。
でも、それが素晴らしいから、その結果が出るわけではない、
と、言われても知ったこっちゃないけども!
ビートルズは素晴らしい、と自分の世界の中心で叫びつつも、
相対化する視線は忘れないでいたいと思います。
子育てについてもね。
私の行っている自然なアプローチは素晴らしいと言いたいけど、
相対化したいものですね。
若いビートルズのツアー de 放蕩デイズ
映画『EIGHT DAYS A WEEK』には出てこない、ビートルズのツアーの一面を。
今でも手に入るのかなぁ。
『ロックンロール・バビロン』という本がありました。
グルーピーの話とか、ビートルズに限らず、あの世代のミュージシャンがどれくらい乱れていたか、って話が、数々の早死にエピソードと一緒に書いてあります。
ビートルズも、ツアーの追っかけも多いしほんとすごかった的な話が、バンバン出ています。
(私も世が世なら追っかけしたかったですよ〜〜)
面白いですよ!
【参考文献】
“ちょうどいい”自然なくらしとお手当てアドバイザー
☆ 望月 索 ☆