『親子で楽しむ!おむつなし育児』(2009年8月刊)の新装版が、2017年9月に出ました。
大変お知らせが遅くなりました……。
この本は、おむつなし育児の本の中ではかなり早い時期に出たものの一つ。
このジャンルとしては多めの部数を刷り、珍しいくらいのレベルで余すところなく売り切り、重版しないまま時が立っていました。類書も増えてますしね。
新装版の訳者あとがきを書くため、久しぶりに読み返したところ、後発の本が増えた今になっても、やはりこれはいい本だなぁと改めて思いました。
第一子の子育て経験から企画した本です。
新装版発売のお知らせとともに、この本を企画するに至った背景について書いてみます。
『親子で楽しむ!おむつなし育児』企画の背景
初めての妊娠で、身の回りに相談できる人もいなかったので、私は赤ちゃんを産み育てるために必要な知識を、基本ゼロから仕入れました。
大変ジャンクな都市型労働者だったので、身近なお友達で産んでる人は誰もいなかった。
(かれこれ10年は経ち、おそらくこの先も産まない人と、そう変わらない時期に産んだ人に分かれています)
最初に育児雑誌の最新号を買ってみたのですが、読者サービス感と宣伝臭が強くてどう読んでいいのかよく分からない(そういう見方になるのは、自分が製作する立場であることも影響しているのかもしれません)。
限られた時間内に方針を決めないといけないので、市販の書籍や雑誌を自分で比較して何かを選択することはせず、オフィシャルリリースの情報源を求めました。
保健所のママ向けサポートで赤ちゃんについて学んだ
結局、保健所からもらった赤ちゃんの育て方、みたいな冊子が重宝でした。
保健所のママ向け講習も、できるだけ受けました。
赤ちゃんのいる生活環境の整え方、おむつのこと、抱っこの仕方、沐浴の仕方、など、これまでやったことのない、身近に見たことすらない問題系について、知識を入れていきました。
おむつ替えの現場を見る機会すらそれまでありませんでした。
保健所の講習でもらった冊子には、紙おむつの使い方、布おむつの使い方、両方について書いてありました。
おむつの当て方も、紙、布ともに実際に見せてもらって、本当に何も知らないので、すごくありがたかったです。
せっかくだから布もちょっと使ってみるかと、新生児向けの布おむつ最小限セットみたいなのを買いました。
通販カタログに載っていた、ウールのおむつカバーと輪おむつのセットです。
イタチごっこのオムツ替えが不合理だと思った
そして、長女が生まれてから、赤ちゃんのうんち汚れというものに初めて対面しました。
黄色いシミができる赤ちゃんのうんち。
布ナプキンなんて存在も知らない頃の私にとって、それまでにない、ちょっと特殊な汚れでした。
布おむつの洗濯についても改めて調べる羽目になりました。
布ナプキンの洗濯をどうするか、と、同じ問題ですよね。
その成果は、ナチュラルランドリーへの知識として結実しています。
話を戻します。
おむつ替えって、紙でも布でも使ってみたらあまりに不合理で、なんとかしたいと思いました。
授乳する前におむつを取り替えて、授乳していたら必ずのようにブホッとまたうんちが出る。
何のために取り替えているのか。
ママ友の中には、どうせ取り替えるハメになるから、授乳前におむつを替えるのはやめた、と言っている人もいました。
とにかく、変えたばかりのおむつってすぐに汚れます。
これ何とかならないのかと、何となく調べ始めたんですね。
EC(Elimination Communication)というキーワードから、洋書を見つけた
私が長女におむつなし育児を始めた頃は、かろうじて、EC(Elimination Communication=排泄コミュニケーション)という言い方がネット上で垣間見られました。
日本でも昭和の途中までは普通に残っていた排泄コミュニケーションですが、おむつに任せる育児が普通になり、いっぺん廃れて、外国経由で戻ってきたというか、そういう頃合いだったのだと思います。
その、ECというキーワードから、おむつなし育児に関する洋書情報を見つけました。
Amazon.co.jpができたのが2000年だから、日本のAmazonもなかった頃ですね。
Amazon.comで、買ったんだな~。
全然知らないジャンルの原書は、知らない単語が多いので、骨が折れます。
でも、育児の合間にちらちらめくってみて。
言ってることはシンプルなので、エッセンスはすぐにわかりました。
これだよ、こっちの方が断然合理的だよ! と思って、やってみたんですね。
EC、つまりおむつなし育児ってなに?
おむつなし育児って、ご存知の方も多いかと思いますが、おむつは使います。
結局のところ、赤ちゃんのトイレのさせ方のバリエーションが、本に書いてありました。
(何をトイレとみなすのかはこの際置いておきます)
「替えた途端にまた汚され」つつもおむつを大量に当てるのではなく、おむつの外に排泄させることも並行する育児なんですね。
実際やってみたら、生理的な問題って、育児において、ものすごくウエイトが大きいことがすぐに実感できました。
赤ちゃんと母って、おっぱいと排泄によるコミュニケーションが基本なんだと思います。
その2つには、必然的に身体のふれあいも付いてくる。
これは面白いわ~、すごいわ~。と思って、翻訳書の企画を立てました。
おむつなし育児を教えてくれる洋書を読み比べて選んだ
計4冊、読んだと思います。
一番面白かったのは、アメリカのおむつなし育児、第一人者ローリー・ブーケの本。
本を最初に出したのも彼女なので、世界中で翻訳書が出ています。
おむつをトイレと教え込んでから、その生活習慣を正す(おむつを外す)のに苦労するなら、最初から、おむつがトイレだと教え込まなければいい。
というようなことが繰り返し書かれていて、とても合理的。
うんちで汚れたお尻をふくのが手間なら、お尻にうんちがつかないよう、うんちさせればいいんです。
その通りだよ!
でもね、さすがパイオニア。すっごく分厚い本だったんですよ。
分厚い本を日本語に訳して出そうとすると、さらに分厚くなります。
育児書としては、ちょっと。きついですよね。普通そんなに分厚くないでしょう?
でも順番的にも、内容的にも、日本で訳書を出すならこの人だよね……という風には、考えられた。
その分厚い英語の本を、日本のマーケットに合うサイズに日本版特別編集することになりました。
実用書ではそういうローカライゼーションがたまにあります。
私は編集で翻訳者じゃないので、企画を立てた当初は、自分で訳すつもりはなかったんですね。
でもおむつなし育児本の場合は、訳者さんに全訳してもらった原稿を大幅に切りながら編集するより、私が訳しつつ量を調整していくほうが早い、という結論になりました。
『親子で楽しむおむつなし育児』はこんな人におすすめ
せっかくだから、新装版が出るタイミングで、おむつなし育児の講座つきお茶会を催して、皆さんの応募のスピード感に驚きました。
ご興味持ってくださる人が多いんだな、と思いました。
本への需要も尽きないと予想します。
文字を見ることがあまり苦にならない方にとっては、ローリー・ブーケの本は、おすすめできますよ。
日本向けに薄くはしてありますが、情報量はかなりきちんと詰まってますし、何かの折に参照できるアドバイスが的確です。
文字が多いとやる気にならない方は、4年くらい前に出た、三砂ちづる先生の『五感を育てるおむつなし育児』がいいと思います。
おむつなし育児の一番のポイント
今はおむつなし育児をお金をとって教える人も増えてるみたいで、でも、きちんと言ってる人ばかりじゃないらしいので、書いておきますね。
おむつなし育児はおむつを使う使わない、輪おむつをふんどしにしてどう、って話じゃなくてですね。
あれは、単に、生活習慣の問題です。
おむつをトイレだと習慣付けたから外すのに苦労するわけで、おむつばかりがトイレじゃないと、赤ちゃんに教えてあげればいいんです。
だから、おむつをつけるなら紙でも布でもいい。
継続してたら、トイレは他にあるって、赤ちゃんに伝わりますよ。
私は、おしっこは最初っからパートタイムで割り切り、ウンチに照準してやってましたしね!
そしたら、どの子も、0歳時点から、おむつにウンチしなくなりました。
すっごく楽でした。
ちょうど昨日保育園で、2歳児たちがわらわらトイレに連れてかれる様子を目の当たりにしました。
うちは、3人とも1歳半にはおむつとっちゃってましたからわからないんですけど、一般的なトイレトレーニングの様子を見ていて、おむつをトイレと教え込んだ場合の生活習慣を外すのは、大変だなぁ、と、改めて思って。
もっと楽にいきたいですよね。
おむつなし育児について話すお茶会について
上に書いた、新装版記念で開いたおむつなし育児の講座付きお茶会ですが、好評でしたので、適宜開く予定でいます。
それぞれの方のライフスタイルや家族構成によって、言えることも変わったりするので、数人で話し合うの、楽しいですよ。
「ナチュラルランドリー」も、数回、講座付きお茶会を開いています(単なるお洗濯、と思われるかもしれませんが、洗濯が面白くなると好評です)。
私が話し手になるお茶会は、どのテーマもコアになる部分でつながっています。
アットホームに少人数が基本なのでお知らせはメルマガのみで、一般告知はできないことが多いです。
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