自然なお産_高齢出産編

搬送された臨月のわたし

第5回 搬送と陣痛促進

助産院や個人病院などでのお産で緊急事態が起こると、より上位の病院に救急車で搬送されます。上2人のお産のときは助産師さんとの自然分娩でしたが、3人めのお産のまえ、最後になると予想していた妊婦健診で、私はエコー検査により胎盤の機能不全を疑われ、東京でも最上位の病院のひとつに搬送すると告げられました。

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エコー検査では、内臓などに異常がないかを見るとともに、胎児の頭蓋骨や大腿骨、おなかなどを計測し、推定体重を割り出します。困ったことに、健診で重視されるわりに誤差があり、赤ちゃんが大きかったり小さかったりすると、さらに誤差が大きくなるそうです。わたしの赤ちゃんは小さく、それだけでもものすごく問題視されますが、搬送になった健診ではその前の健診より推定体重が数百グラム減り、胎内でまったく育たず〝苦しくなっている”と疑われました。

あくまでも「疑い」です。わたしの妊娠は毎回臨月ごろに赤ちゃんが小さめになり、おなかの子の元気さを計るノンストレステスト(NST)をたびたび受けることになります。が、NSTで異常があったことはなく、緊急搬送を告げられた日も、NSTの結果でも、自分の体感としても、赤ちゃんは普通に元気でした。

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小さく産んですぐに大きく育つのがそれまでのパターン。
そういうお腹」で済ませてくれないのが、西洋産科医学的な世界です。

仕事はギリギリまで続けたけれど44歳と高齢なぶん、妊婦の養生は心がけ、産むからだは整えました。
月の暦とお腹の張りがばっちり呼応していたし、上2人の子どもは在胎日数がほとんど変わらないので、それとちょうど同じくらいの、一週間ほど先の満月の日が、たぶんこの子の誕生日。小さくても元気な赤ちゃんに会えるだろうと思っていました。

あと1週間で、母子がぴったり寄り添う、新生児のいる生活がまた始まる……そう思い、準備も進めていました。ところが、90%くらいの確率で陣痛促進される、赤ちゃんはNICU(新生児集中治療室)に入院になると言われたのです。

子どもの命に関わると言われると拒否もできないけれど、あまりに体感にそぐわないので、同意もしかねました。もう何年も薬ひとつ飲んだことがないのに、陣痛促進剤は怖すぎる。

でも、搬送先の大病院の検査も受けたほうがいいとすすめられました。セカンドオピニオンをもらうという考え方もあるから、と、呼び戻された家人も言います。ですので、搬送そのものには同意しました。

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のんきに一番上の子を連れて歩いて来院したというのに、担架に乗せられました。搬送されるような妊婦は、自分で歩いてはいけないのです。上の子と旦那ちゃんは救急車に辟易。座る人は乗り心地がとても悪いみたいで、車酔いしたと言っていました。寝ながら乗っていた私は……そんなに揺れませんでしたね。

大病院の内診は、かなり乱暴で痛いうえに、若い医師ともっと経験のある医師の2人がかりで行なわれました。あまりに不愉快なので、最後には、内診は1人にしてくれとお願いしました(その要望は通りました)。検査の結果、赤ちゃんの推定体重がさらに減り、その場で、その夜のうちに陣痛促進して出してしまおう、という話になりました。

え?  NSTで問題がないのだから、入院したうえでの経過観察でもいいじゃない、と思いましたが、正期産(「産んでいい」週数)の子は内臓が育っているから、リスクがある以上、出してしまうのが「医学的判断なのだそうです。個人病院の説明とは違い、緊急搬送だから大病院側は受け入れたわけで、その日のうちの陣痛促進は織り込み済み、経過観察の選択肢はないし、そうする意味もない、とのことでした。おなかにいることにまったく意味がないなんて思えないのだけど、との考えが頭をかすめます。

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プライベート出産を考える人のなかには妊婦健診を受けない人もいますが、西洋医学にも利点はあるし、無用なリスクは避ける方針で、わたしは健診を受けていました。でもそれは年齢と万一を考えてのことで、今こそが万一のときだという実感がもてません。もちろん促進を断って、すでにお産の準備の整った自宅に帰ることもできます。でも断れば間違いなくもめるし、それで自宅出産時に万一のことがあった場合、自宅に一番近いその病院が、また受け入れてくれる保証はありません。それに、2000グラムを大きく下回る推定体重がもし正しければ、産後の新生児ケアはプロに任せないと危ない。子どもの安全を考えると同意すべきでしたが、それでもわたしは言葉に窮しました。

そのとき家人の携帯電話に連絡が入りました。まんなかの子が保育園で高熱を出したのです。家人は病児の看病ができないのでわたしは帰るしかない。同意して入院しても、特別に外出許可をもらえることになりました。子どもたちが連携したかのようなタイミングです。

病院を出てすぐに、東洋医学的な陣痛促進を、電話予約しました。

続きます。

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久しぶりに読み返しました。

搬送のため、担架に乗せられた私は、個人の産科病院の、玄関から
出て行きました。

大勢の妊婦さんが、いろんな視線で、見送ってくれました。
元気なので申し訳ないやら恥ずかしいやら。

そして、とても不安でした。

個人病院の先生は、送られる先の大病院の先生のことを、
「いい先生だから心配しないで」と、気遣って、
忙しい中、わざわざ表に出てきて、見送ってくださいました。

不本意な展開だったので、そのように書いていますが、
そこには、善意しかなかったことは、わかっています:-?

字数が足りなくて、別の大病院との間であった、
ある意味貴重な体験取材を割愛しています。

そこは、今後、産む予定のある方のために、補うつもりです。

当時は、健診は受けた方がいいと勧めてくださる方もいましたし、
取材も兼ねて 😉 、そんなにマメではありませんが、
ちゃんと健診を受けていました。

でも今思えば、ヘソの緒が首に巻いていないことを確認できて以降の、
最後の検査は、受けなくても良かったですね。

ただ、この展開を経る必要が、自分にはあったのだと、思います。

“ちょうどいい”自然なくらしとお手当てアドバイザー
☆ 望月 索 ☆

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執筆者について

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本やムックの編集者、時々ライター、一般社団法人 日本マクロヘルス協会理事。3人の子を育てる高齢出産ワーキングマザー。編著に『子どもを守る自然な手当て』、企画・翻訳書に『小児科医が教える 親子にやさしい自然育児』『親子で楽しむ おむつなし育児』など。大人向けのノンフィクションや小説、実用書、児童文学、絵本など、多くの出版物を編集・製作中。趣味はマンガ読み。

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